きっと幸せな夜

何もかも
なんでもよくなる夜がある。

夜だからそう思うのか、夜ならそう思ってもいいと思うからなのか、まだ分からない。
夜が怖くなくなったのは
いつからだろうか。
夜を楽しむようになったのは
いつからだろうか。

 

歌いながらでも
星を眺めながらでも
自転車を漕ぎながらでも
フラフラと帰っている時間が

わりと、好きだ。

夜中に友人から電話がかかってきた。
終電を逃して歩いている、と。
暇だからビールとつまみを買って歩いている、と。
羨ましくなった。なんだか大人みたいだ。実際にはもう大人なのだが、私はまだ、精神的には子どもだ。だからそういう、小さなことで大人みたいだと思ってしまう。その時点でかなり子どもだ。少し背伸びをしたいだけなのだ。

 

そう、いつだって少し背伸びがしたい。少しだけ。似合わないほどのお洒落な服を買ってしまったり、クレジットカードで支払ってしまったり、哲学の本を買ってしまったり。

そんなことが背伸びと思える年齢にまだいるなんて、きっと幸せなことだ。

 

今日の夜はなんだか気分がよかった。

昨日の帰り道が少し幸せだったからだろうか。それとも今日のアルバイトが楽しかったからだろうか。はたまた明日が休みだからだろうか。いずれにせよ気分のよかった私は、アルバイト先でもらったコアラのマーチをぱくぱくと口にしながら、上を眺めていた。ダイエット中だとか、どうでもよかった。これも夜のせいにしておこう。それに空は、曇天だった。星が見たくて上を向いたが灰色が広がるばかり。

それでもこんなに気分がよかった。小さな幸せだ。

 

まだ私の帰り道には、ビールとつまみは似合わない。コアラのマーチくらいで充分だ。