あの茶色い

昔からあるアイスって、ほんのりと木の棒の味がする。

なんなら途中から木の味がアイスに勝つことがある。

アイスバーを想像して書いているが、カップアイスについてくる木のスプーンも然り。

 

きっと、ああー分かる分かる

となっていただけると思うのだが、いま思い出そうとするとその木の味がどんなだったかを思い出せない。

 

だけど食べてみて木の味がしたとき、

懐かしい

と心のどこかで思うのだ。

 

私はあの味が好きではない。アイスを食べたくて食べていたのになぜ途中から植物風味でお届けされないといけないのだろうか、と思う。しかし思えば思うほど木の味に味覚が集中してしまう。

 

しかしその懐かしさで、なぜか不快感までは感じない。それはずっと小さな頃から、不定期に味わってきたものであるからなのか。いわば、私はこの味とともに育ってきたのだ。

 

これから何年後かも、アイスの棒は木なのだろうか。プラスチックや他の何かが主流になるのだろうか。その時私は少し寂しい、などと思うのだろうか。

いいや、きっと木の味も忘れ、むしろ木の味がする、ということも忘れ、何を思うこともなく普通に生活するのだろう。いつもいつも、感じてからやっと気付くものなのだから。無い時にそれについて考えたことはないのだから。