季節の匂い

春がきたみたいだ。

というのを、匂いで感じられるようになってから私はまだ2年ほどしか経っていない。

 

昔、小学生くらいの頃だろうか。

友人は私に、

「冬の匂いがする!」

と言った。

私には何もわからず、この子は変わってるんだと思った。だが、季節の匂いを感じる人間は案外私の周りに多く、何もわからないながらにも、それが羨ましいと思っていた。

 

高校生のある日に読んだ少女漫画のヒロインが、

「秋と冬の匂いが半分になった!」

と言った。

こんなにも、世間一般的に季節の匂いは存在するのかと、驚いた。

 

 

私が所属していた部活は、中学、高校ともに秋に引退だった。つまり秋は私にとって、先輩との別れであり切ない季節だった。

 

いつかの秋に、

不意に引退の切なさを思い出した。脳ではなく、肌で感じた気がした。

その時に確かに私は、空気の匂いで思い出した。

 

これが、秋の匂いか。

 

私は初めて、何年も前から羨ましく思っていたものに触れ合うことができた。

 

そうして時が経つにつれて

春の匂い

冬の匂いが分かり、

去年初めて、初夏の匂いも感じた。

嘘ではない。

ほんとうに季節に匂いがあるのだということを知った。

 

一つ、感受性が高くなった気がした。

 

嗅覚なんて生まれた瞬間からあるのに

後から得られる嗅覚もあるなんて、不思議だ。

 

 

今日、ついさっき

春の匂いが私の鼻に入り込んできた。

 

そのまま電車に乗り込み窓の外を見ると、桜がちらほら咲き始めていた。

 

どうやら今年も、春がきたみたいだ。